2025-12-19

【ある閉ざされた雪の山荘で】そうきたかー【感想】

 ミステリー小説で「探偵より先に謎を解こう」チャレンジ。
 その2作目がこちら、『ある閉ざされた雪の山荘で』。(最初のチャレンジはこちら)。

以降、「ある閉ざされた雪の山荘で」の内容についての記載があり

 本来なら、謎解きパートに入る前に一度読むのを止めて、何度も読み返しながら自分で推理するつもりだった。
 ……だったのだが、うっかり謎解きパートに突入してしまったので、今回は普通に感想を書くことにする。

 とはいえ、読むときは謎解きする気満々だったので、事件パートも「これはどういう意図なんだ?」と考察しながら読んでいた。ずっと引っかかっていたのが 「そもそも本当に殺人は起きているのか?」 という点。ミステリーなのだから人が死んでいないと成立しないだろう、と結論づけて “殺人は起こっている前提” で推理を進めたのだが……

 いや〜、大外れだった。

 たしかに、実際に殺人が起こっているにしては妙な点が多かった。たとえば「古井戸に被害者の服の糸が残っていた」という描写。“井戸に落としたのでは?” という話になっていたが、そもそも舞台は本物の密室ではない。犯人は密室に縛られる必要がなく、夜のうちに死体を車か何かでどこかへ運び出せばいい話だ。

 だから「実際には殺人は起きていないのでは?」という考えも頭にはよぎった。しかし、読者視点では犯行の様子がしっかり描かれていたので、その可能性は消した。……まさか、その描写そのものが 本物の殺人だと思い込ませるための演技 だったとは。登場人物全員が舞台俳優という設定が、ここで効いてくるのも鮮やかすぎる。そうか、あの描写は地の文ではなく「誰かが見た光景」だったのか。

 いや〜、まったく見抜けなかった。脱帽です。